健康診断の数値は気にしても、口の中のチェックは後回しになっていませんか?歯周病や虫歯が全身に影響を及ぼすことは知られてきましたが、 定期的な歯科健診やメンテナンスが習慣として十分に定着しているとはいえません。口の機能や歯の健康も意識して、 これからも食事や会話を楽しみましょう。
口の中から血管を通じて全身に巡る歯周病菌
口の中は温かく湿った環境で、食べ物も頻繁に通り、細菌が増えやすい場所。歯磨きなどを怠ると、歯周病や虫歯になりやすく、進行すれば歯を失うおそれがあります。
歯周病を「少し出血しただけ」と考えるのは誤解です。歯周病菌は血管を通じて全身を巡り、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などのリスクを高めます。特に糖尿病と歯周病は互いに悪影響を及ぼしやすいため、注意が必要です。
口の機能は食事だけでなく
社会とのつながりにも影響
歯を失うと食べ物を噛みにくくなり、栄養バランスの乱れにつながることがあります。
また、加齢に伴い口の筋肉が衰えたり唾液の分泌量が減ったりすると、飲み込みにくい、むせやすい、滑舌が悪くなるなどの変化につながります。
こうした不便が増えると、食事を楽しめなくなるだけでなく、人との会話や交流を避けるきっかけになり、社会とのつながりが減ってしまうこともあります。
歯周病や虫歯を防ぐ毎日のケアのポイント
歯磨きは毎食後が理想ですが、難しい場合は起床後と就寝前に丁寧に磨きましょう。朝は就寝中に増えた細菌を洗い流し、夜は食べかすをエサに増えた歯垢(プラーク)を取り除くことが大切です。
歯周病と虫歯の予防では、ポイントが異なります。歯周病は、歯と歯の間、歯と歯茎の境目を意識して磨き、デンタルフロスや歯間ブラシも使って予防しましょう。フッ素配合の歯磨き剤を使うと、虫歯予防にも効果的です。
歯ブラシを交換する頻度は1カ月が目安。毛先が広がる前に換えるのをおすすめします。マウスウォッシュ(洗口液)は舌や粘膜の清潔維持や口臭対策に役立ちますが、歯磨きの代わりにはならないことを覚えておきましょう。

定期的な歯科健診で早期発見や磨き方改善
虫歯や歯の痛みなどの自覚症状がなくても、3~6カ月に一度を目安に歯科健診を受けましょう。 歯周病や虫歯の早期発見だけでなく、磨き残しやすい場所や、デンタルフロスなどの使い方を教えてもらう機会にもなります。口臭や歯の黄ばみが気になる人には、クリーニングもおすすめです。
口の中の健康を守る唾液の大切な働き
口の健康を保つうえで知っておきたいのが、唾液の役割です。唾液に含まれるアミラーゼという酵素は、消化を助けるだけでなく、細菌の繁殖を抑えて清潔に保つなど歯を守る働きを持っています。
ですが、加齢やストレス、薬の影響などにより、唾液の分泌量が減ることがあります。テレビを見る時間などを利用した唾液腺マッサージや、口を大きく開閉する、舌を回すといった習慣は、唾液の分泌を促し、口や顔の筋肉を保つことにつながります。
しっかり噛んで食事を味わい、豊かな表情を保つためにも、日頃から口の機能を意識しましょう。
※疾患をお持ちの方は医師の指示に従ってください。
上の奥歯あたりを親指以外の4本の指で後ろから前へ円を描くように
顎の下の骨の内側を親指で耳の下から顎にかけて順番に押していく
顎の舌の骨の内側に両手の親指を揃えて舌を押し上げるように力を入れる
医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション科勤務を経て、クリニックでの診療と企業の産業医業務を行う。健康科学アドバイザーとして本の執筆や講演にも取り組み、家庭医学や健康についての解説、とり入れやすい生活改善法をわかりやすく伝える活動を続けている。
日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック予防医療学会人間ドック健診専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医









